「寄附」と「寄贈」の違い
「寄附」と「寄贈」、どちらも「何かを無償で提供する」ことに変わりはないのですが、実際は送るものの性質が違ったり、送り先が違っていたり、税金が絡んできたりします。特に税金については税金の種類だけでなく、お得な税金控除の情報もお届けしますね。そこで「寄附」と「寄附」の違い、「寄附」と「寄贈」の違いを比較してから、寄附金控除と確定申告について触れてみたいと思います。
寄附と寄付の違い
「寄附」と「寄贈」の違いの前に「寄附」と「寄附」の違いってなに?という意外と知られていないこの違いが気になったので、とりあえず調べてみました。
“「きふ」は、「寄付」とも「寄附」とも書く。一般には「寄付」が多く、新聞表記も「寄付」である。しかし、法令・公用文における公式の表記は「寄附」である。なお、「付則・附則」「付属・附属」「付帯・附帯」「付置・附置」なども、法律では「附」の字を用いる。)”
URL:www5a.biglobe.ne.jp/~minnami/link237.htm
ただし現在はどちらを使っても問題ないようなのでお題の「寄附」を使用したいと思います。
「寄附」と「寄贈」を使った例文
ではこちらの2つの文章を見てください。「寄附」と「寄贈」を使った例文です。
・バザーの収益金を福祉団体に寄附する
・母校にピアノを寄贈する
まずはこの2つが「何を贈っているのか」に注目してください。「寄附」は「お金」を、「寄贈」は「物品」を対象にしています。続いて「どこに送っているのか」に注目してください。「寄附」は公共の事業、団体、社寺を、「寄贈」は学校や図書館などの公共性の高いところを対象にしています。最後に贈与税がかかるか否かですが、「寄附」には贈与税がかかり、「寄贈」には贈与税がかかりません。ちなみに、贈与税とは相手からの贈与によって受け取った財産に課せられる国税のことです。
寄附することでお得になる?寄附金控除とは?
寄附金控除とは、「認定非営利活動法人」「公益社団法人」「自治体」などの対象となる団体へ寄附をした場合、つまり特定寄附金を支出した場合は、控除が受けられるというものです。ただし寄附をして本人が特別な利益が及ぶと判断されるもの、または、政治資金規正法に抵触するものは対象外です。
所得税の寄附金控除については、所得控除か税額控除の2つから選ぶことができます。
◆所得税の所得控除を選択する場合
その年中に支出した寄附金の合計額―2千円=寄附金控除額
[所得金額―(寄附金合計―2千円)]×各自の税率=寄附金控除後の税額
所得税率の一覧はこちら
URL:www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
※所得金額の40%が控除の対象となる寄附金の上限額となります。
◆税額控除を選択する場合
税額控除の割合はあらかじめ決まっています。ちなみに認定NPO法人は40%、政党等寄附金特別控除制度は30%なので、それぞれの控除額を求めたものが直接税額から控除されます。
認定NPO法人への寄附
(その年中に支出した寄附金の合計額―2千円)×40%=税額控除額
政党または、政治資金団体に対する寄附
(その年中に支出した寄附金の合計額―2千円)×30%=税額控除額
税額控除の内容一覧はこちら
URL:www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/shoto321.htm
※所得金額の40%が控除の対象となる寄附金の上限金額となります。
※控除額については、所得税額の25%が上限となります。
控除を受けるための手続きについて
所得税の寄附金控除ですが、確定申告をすれば税金が返ってきますよ。でも確定申告をする場合、現在会社務めをしているなら、会社で年末調整をするのではなく、「自分で確定申告する」を選びます。初めてなら、まずは自分の住んでいる地域を管轄している税務署へいきましょう。結構、詳しく教えてくれますよ。
持っていくものは「源泉徴収(働いていれば)」、「領収書」「寄附を行った法人や信託が適正な団体であることを証する書類の写しや認定書の写し」、政治活動関連の寄付金の場合は、選挙管理委員会などの確認印が押印された「寄付金(税額)控除のための書類」。
なお紙で申告する場合は認印、還付金を受ける際の銀行の支店名・口座番号がわかるものを持っていきましょう。以前に電子申告をしたことがあるなら、電子申告番号を控えておいてください。
控除を受けるための手続きについては、寄付金控除(所得控除や税額控除)に関する項目を記載した確定申告を提出します。国や地方公共団体などへの寄附金なら、持ってきた領収証と認定書を、政治活動関連への寄付金なら、「寄附金(税額)控除のための書類」を申告の際、申告書に添付又は提示する必要があります。
まとめ
寄附と寄贈の違い
- 寄附はお金、寄贈は物品
- 寄附する先について、寄附は公共の事業、団体、社寺、寄贈する先は学校や図書館などの公共性の高いところ
- 寄附には贈与税がかかるが、寄贈にはかからない
- 寄附には控除があり、確定申告して初めて控除が受けられる
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