「制作」と「製作」の違いと使い分け

２つには、作るものによってハッキリ使い分けがされています。

①「制作」

芸術作品や、美術作品を作るときは、「制作」を使います。また、映画や音楽などを作るときも同じです。「制作」はこのように、美術的な何かを作る時に使いましょう。というのも、「制」という漢字には、「ととのえる」という意味を含んでいます。美術的な作品を「ととのえる」という意味も含んでいるのでしょう。具体的には、『絵画を制作する』や『卒業制作を完成させる』などです。

②「製作」

こちらの「製作」は、道具や機械を使ってモノを作るときに使われる表現です。形あるもの、実用的で量産できるものの場合は、こちらを使って「せいさく」されます。「制」と違って、「製」には、「こしらえる」という意味があり、道具や機械を使ってモノを「こしらえる」ということで使われることが分かります。この言葉の使用例としては、『新しい機器を製作した』『サンプルを製作する』などがあるでしょう。

実は、映画、レコード、演劇、放送、テレビ、ドキュメンタリー番組などの映像にかかわる業界では、「制作」「製作」の両方を使います。先ほど、美術系の作品を作るときは「制作」を使うと言いましたが、この業界だけは、例外なようです。では、どのように使い分ければ良いのでしょうか？

①制作

（映像）作品を作るための、実際の作業をするときは、「制作」を使います。

②製作

（映像）作品の全体プラン、資金集めや出資を募ること、宣伝や興行などの全般に関わるときは、「製作」を使います。

もっと簡単に言えば、その映像作品に関わる全てのモノづくりを「製作」と表現し、その中の実際に作品を実作業していることを「制作」と表現します。製作会社が自社制作することは少なくなってきて、実作業は制作会社に任せていることが多いようです。そして、そういった業務を請け負う制作会社にも、いくつか種類があるようです。大きく分けると、制作会社は２つに分かれています。一つは企画系の制作会社で、もう一つは技術系の制作会社です。企画系の中だと、TV・CMプロダクション（制作会社）はテレビ番組やCMなどの企画制作をしている会社です。技術系で言えば、撮影に関する業務を請け負うプリプロダクション、撮影したものを加工する会社はポストプロダクション、CGを専門に請け負うCGプロダクションなどもあるようです。

このように、ひとえに「せいさく会社」と言っても、「製作」と「制作」でやる業務も違い、区別されているのですね。

『物を作る』という意味で、「制作」「製作」どちらの言葉も認識されています。では、その他にも『物を作る』という意味を持つ表現があるでしょうか？「せいさく」という読み方はしませんが、『物を作る』ことをあらわす表現

「どんな物を作るか」で他のも次のような言葉があります。

①作製

⇒品物、機械、図面などを作る時に使われる表現です。例：精密な図面を作製する。

②作成

⇒書類や文章を作る時に使われる表現です。例：会議に使うプレゼンの資料を作成する必要がある。

③製造

⇒原料を加工して、何か物を多く作る時に使われます。特に工場などの大きな場所で作る場合で「作る」ことを表現するときです。例：お菓子を製造する

一般的な「制作」「製作」の違いは、至極単純な違いで分かりやすいものでしたが、映像業界におけるこれら２つの言葉の違いは、非常に複雑なものだということが分かりましたね。仮に、映像業界の仕事に就きたいと思っている人は、少なくともこれらが意味するところの違いを理解し業界に入らないといけませんね。イメージとしては、製作会社の方が上の立場で、制作会社は、その製作会社からの仕事を請け負うイメージですね。実際のところ、制作会社も『製作』メンバーの一人でありますが・・・。

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