言葉

「ごめんなさい」と「すみません」の違いと使い分け

 
Kollama Yujiro
投稿者 Kollama Yujiro. 更新された: 20 1月 2017
「ごめんなさい」と「すみません」の違いと使い分け

言語は生き物です。ちょっとした言葉の使い方が、印象や状況を変えます。「ごめんなさい。」と「すみません。」だったら、どうなるでしょうか。

他にも「すいません」と「すみません」の違いなども合わせてご覧ください。

目次

  1. 吉田沙保里選手インタビュー:「ごめんなさい。」か「すみません。」か
  2. 敬意の度合いと使う場面:咄嗟の時は敬意の度合いは気にしなくても
  3. 使い分け:空気を読むか、空気を読んでもらうか
  4. ここは注意。:素直な気持ちで言う。そして、大切な時にだけ言う
  5. 最後に

吉田沙保里選手インタビュー:「ごめんなさい。」か「すみません。」か

リオ・オリンピックで興味深い場面を見ました。レスリングの吉田沙保里選手が決勝戦で負けた後、インタビューを受けていました。彼女はたくさんの人が応援してくれていたことや自分は選手団の団長で会ったことなどに触れながら「ごめんなさい。」と言いました。

「ごめんなさい。」は数ある日本の謝罪表現の中でも親しい間柄のみで用いられるとされる表現です。そのため、一般的には、公の場面で、30代の女性が謝罪の気持ちを伝えようとしているという場面からだけ考えれば「ごめんなさい。」は不適切です。「すみません。」以上の謝罪表現が適切でしょう。

しかしながら、その後の報道を見ても、若干、揚げ足取りの気がある日本社会において、あの「ごめんなさい。」という言葉を取り上げて、幼稚だ、もしくは、不適切だったという報道は、私の知る限りありません。だから、彼女の「ごめんなさい。」は誤用ではなかったと言えるでしょう。

敬意の度合いと使う場面:咄嗟の時は敬意の度合いは気にしなくても

「ごめんなさい。」と「すみません。」をただ言葉として比較した時、前者の方が後者よりも敬意の度合いは低いことは、誰もが分かることでしょう。しかし、例えば、年上の方の足を電車内で踏んでしまったというような思いもかけない出来事が起こった時、「ごめんなさい。」と口をついて出てしまったとしても、それを敬意が足りないとか、誤用だとか、不愉快だと言う人はいないのではないでしょうか。

基本的に、言語は発話に関係する人の社会的地位や場面に合わせ、敬意の度合いをシフトさせるべきとされています。しかしながら、咄嗟の場面においては、本来は敬意の高い言葉を使わなければいけなかったとしても、失礼ではありません。その後、きちんと敬意の度合いに合わせた対応ができれば、不意のことだったんだな、悪気はなかったんだなというメッセージを相手に伝えることができます。吉田沙保里選手が言った「ごめんなさい。」はその良い例です。

使い分け:空気を読むか、空気を読んでもらうか

丁寧な言い方をしていれば、無難だと考えがちですが、自分は友達だと思ってい相手から「すみません。」と言われたら、どう思いますか。何だか距離感を感じるのではないでしょうか。それでは親しみを込めてということで、アルバイト先の先輩に「ごめんなさい。」と言ったら「そこは、すみませんだから!」と言われて、怒られてしまうかもしれません。

「空気を読む」という言い方がありますが、コミュニケーションを円滑に進めたいのなら、この「空気を読む」ことがとても大切になります。相手が貴方に求めている関係に合わせて「ごめんなさい。」と「すみません。」と使い分けると、コミュニケーションが円滑に進むだけでなく、良い印象を相手に与える一助となることでしょう。

「空気を読む」というと、自分が空気を読むことを思いがちですが、時には相手に空気を読んでもらっても良いでしょう。例えば、普段は「ごめんなさい。」を使うような親しい関係にある人に、「すみません。」と言うと、貴方のことを不愉快に思っている、もしくは、距離をとりたいと思っているというサインを出すことができます。「ごめんなさい。」と「すみません。」、たった二つの基本的な言葉ですが、使える言葉です。

ここは注意。:素直な気持ちで言う。そして、大切な時にだけ言う

孫子の中の一節に「兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり。」というものがあります。意味は、出来は良いけど遅いよりも、出来が悪いけど行動が早い方が良いです。だから、「ごめんなさい。」か「すみません。」を考えるよりも前に、何か悪いことをしたなと思った時は、意地になったりせずに、素直な気持ちで、早めに謝ってしまった方が傷は浅いです。

しかしながら、謝りすぎな人は軽んじられます。悪いことをしたのなら、即座に対応すべきですが、悪いことをしてもいないのに、何はともあれ謝っておこうというのは止めておいた方が良いです。人間もまた動物です。謝られ続けると、貴方のせいではないのに、貴方が悪いということになってしまうことだってあります。「ごめんなさい。」や「すみません。」に限らず、謝罪表現の類のものは、大切な時だけ言うようにしましょう。

最後に

「ごめんなさい。」と「すみません。」以外にも、謝罪表現は様々あります。どのような表現であっても、不意に出てしまった言葉は気にせず、その後、場面や相手に合わせた表現ができれば、問題ありません。素直に、かつ、丁寧にそれらの言葉を使いましょう。

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