仏教

御仏前と御霊前の違い

 
丘咲マリ
投稿者 丘咲マリ. 更新された: 16 1月 2017
御仏前と御霊前の違い

通夜やお葬式などに参列することになって、不祝儀袋(香典袋)を持参するのに、表書きは「御仏前」でいいのか「御霊前」になるのかと悩まれたことはありませんか?

では、何故「御霊前」や「御仏前」といった言葉があるのでしょうか。

普通は、お葬式などに参列する際に持参する金品は「(御)香典」(亡くなられた方へお香を供える)というのですが、宗教宗派によって霊の考え方が異なるためこうした言葉が存在するのです。

それでは、「御霊前」「御仏前」の違いと使い方について見ていきましょう。

出典:kakaku.com

目次

  1. 御霊前とは
  2. 御仏前とは
  3. 49日の法要には
  4. その他の宗教
  5. 宗教宗派が不明の場合
  6. まとめ

御霊前とは

御霊前とは、【霊】の前にお供えするものなので、御【霊】前と言います。

仏教の教えで、亡くなった方の霊は7日ごとに7週間に渡って、この世で魂をしずめて仏様になる準備をされている期間と考えられています。そのため、初7日の法要から49日までは7日ごとに、供養して、亡くなった方の霊が極楽浄土にいけるようにするのです。よって、霊を信じている宗派の場合、49日までの間は「御霊前」となります。

※同じ仏教であっても、霊という考え方のない真宗(浄土真宗や日蓮正宗など)では、「人は亡くなったらすぐに仏様になる」という考え方のため、御霊前は使用しません。

御仏前とは

御仏前とは、【仏】様の前にお供えするものなので、御【仏】前と言います。

49日の法要が終わると、亡くなった方の霊が成仏して極楽浄土に行くとの考え方から、納骨が行われます。よって、これ以降の法要では、御仏前が使用されます。

※御仏前は、仏教の「仏」の字がある様に、他の宗教(キリスト教や神道など)では使用できません。

※真宗(浄土真宗や日蓮正宗など)では、通夜や告別式、49日前の法要には、全てこの御仏前が使用されます。

※ちなみに「仏」は略字であるため、正式には「佛」と書きます。

49日の法要には

49日に、亡くなった方が仏様になるということで法要(納骨)が行われます。しかし、実際には、平日には参列するのが難しい方が多いため、前日の日曜日や祭日に行われることがほとんどです。

そこで、みなさんが悩まれるのが「御霊前」か「御仏前」のどちらの不祝儀袋(香典袋)を用意したらいいのかではないでしょうか。

49日の法要が終わりますと、御位牌は御仏壇に移されます。ですので、実際には、49日前に法要が行われたとしても、この時点から「御仏前」が使用されます。

※これはあくまで一般的な例で、地域の習わしや、宗旨宗派によって異なります。参列する際は、親戚の方などに確認してください。

その他の宗教

仏教以外では、「御霊前」や「御仏前」は使用できないのでしょうか?または、何が使用されているのでしょうか?

【神道】

神道の考え方では、亡くなった方は御霊となり、霊璽(れいじ)に移り神となるとされています。その為、不祝儀袋(香典袋)の表書きには、「御神前」「御榊料(おさかきりょう)」「御玉串料(おたまくしりょう)」が使用されます。また、仏教でも使用されている「御霊前」を使用することも出来ます。しかし、仏様になるという考え方はないため、「御仏前」は使用出来ません。

【キリスト教】

キリスト教の考え方では、亡くなった方は霊魂となり、神に召されるとされています。その為、プロテスタントの場合は「お花料」、カトリックの場合は「御ミサ料」が使用されます。また、神道同様に、「御霊前」を使用することも出来ます。しかし、キリスト教でも仏様になるという考え方はないため、「御仏前」は使用出来ません。

神道、キリスト教で「御霊前」を使用することは可能ですが、蓮の花の印刷が入った不祝儀袋(香典袋)は仏教専用となりますので注意してください。

宗教宗派が不明の場合

事前に、宗教宗派が分かればいいのですが、時には先方の宗教宗派を知ることが出来ない場合がありますよね。そんな時は、仏教であることは確実で宗派が分からない場合は「御香典」または「御香料」を。宗教は分からないけど確実に真宗ではない場合は「御霊前」を使用することが出来ます。

※「御香典」「御香料」とも、亡くなられた方へ、お香をお供えしますという意味です。

まとめ

「御霊前」と「御仏前」の違いは分かりましたでしょうか?

たかが、不祝儀袋(香典袋)の表書きと軽くみてはいけません。大切な家族、親戚を亡くされたご遺族の気持ちになって、失礼のない対応を取る様にしなければなりません。

簡単にまとめると次のようになります。

「御霊前」は、真宗以外の仏教(49日の法要の日まで)、神道、キリスト教で使用できます。

「御仏前」は、仏教(49日の法要の日以降)と真宗で使用できます。

「御香典」「御香料」は、仏教全般に使用できます。

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