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戸籍筆頭者と世帯主の違い

 
Kollama Yujiro
投稿者 Kollama Yujiro. 更新された: 16 1月 2017
戸籍筆頭者と世帯主の違い

「世帯」という考え方は実に厄介です。先日、離婚に関する記事を書く機会があって、いろいろ調べてみたところ、夫(もしくは妻)の行動がひどすぎて、絶句したのを覚えています。実に巧みに法の目をかいくぐって、離婚が自分に有利に運ぶように計算している事例があまりにも多いのです。保険証を渡さない、最低限(公共料金等)のお金だけは払うが、それ以外は自分(夫もしくは妻)一人で使い切る。もっと悪質なものもたくさんあるのですが、これら2つは「世帯」が家族を苦しめる一例です。

目次

  1. 世帯主とは
  2. 世帯の役割
  3. 世帯主と離婚
  4. 戸籍筆頭者
  5. まとめ

世帯主とは

●世帯主は、世帯を構成するメンバーの中心人物のはずだけど…

国民健康保険証は世帯ごとに配られます。多くの家庭では夫が働いているため、世帯主も夫になります。実は世帯主は同一生計で同居している人の中で、主に生計を支えている人のことを言う場合が多いのです(法律上の定義はありません)。つまり国民健康保険証は世帯主(夫)宛に送られてくるため、妻や子供は手出しができません。そのため保険証が受け取れず医者にかかれない、もしくは10割負担が経済的に難しく病院へ行けない、という人が結構いるのです。社会保険のケースも多いのですが、会社から世帯全員分の社会保険証が夫宛に来るので、やはり国民健康保険と同じように妻や子が社会保険証を受け取れないのです。このような場合、病院に事情を話して病院側に対応してもらうのが一番効果的ですし、体調の悪化も避けられます。なお国民健康保険なら市町村の役所へ、社会保険なら社会保険事務所へ相談するのも効果があるようです。ただし世帯という考え方がある限り、このような悲劇は起こるように思います。しかし世帯とはだれが決めて、どのような目的で使われているのでしょうか。

世帯の役割

●世帯は役所の手続きの効率化と住民票を作成・管理のためにある

世帯というのは「住居と生計を共にする社会生活上の単位である」とされていますが、実際は役所の事務手続きの効率化や、世帯主から見た家族それぞれの続柄、つまり妻や子(長男・長女などは子に改められました)などが、住民票を作る際に必要というだけなのです。まあ住民票のインデックスという側面もあるのですが。それにしても、たったそれだけの理由なのに、夫が保険証を取り上げるので別々に送ってほしいと頼んでも「国民健康保険は世帯ごとなので対応できない」と取り合ってくれません。ただし、一度相談に来てくださいとは言われます。とはいえ世帯は、もともとは役所の都合で作られたものなのですから、もう少し柔軟な対応を求めたいです。

世帯主と離婚

●どこまでもつけあがる世帯主は離婚すらも許さない

世帯主を敵に回すといろいろな問題が出てきます。たとえば今年から電力自由化され、電力会社を自由に選べるようになりましたが、家族が電気代を下げようとしても世帯主の委任状が必要であきらめることになる、または下がった電気代を、世帯主が全部持っていく、などということが当たり前になります。さらに悪質なものもあります。世帯主が家族を完全に支配するのです。パターンは2つ。1.全て世帯主が一人で管理して家族に自由になるお金を一切持たせない、2.妻に公共料金分のみを払うことにしているが、なかなかお金を持ってこなかったり、お金を渡すときに妻に土下座をさせたりする。しかしどちらも外見上は家にお金を入れていることに変わりはないので「悪意の遺棄」(生活費を渡さないなどの離婚理由の1つとして法律で定められている行為)を理由にして離婚できないのです。調停を申し立てても調停委員に「お金がもらえるだけましだ」と切り捨てられ、妻は二重三重に傷つけられることが多いのだそうです。

戸籍筆頭者

●経済的強者の世帯主と法的に優位な戸籍筆頭者

今まででの内容から、同一生計で同居している人の中で主に生計を支えている世帯主は経済的に有利なうえ、社会的ステータスも高いことがわかっていただけたと思います。そして世帯主は、住民票のインデックスという役目も果たしています。しかし戸籍筆頭者は戸籍の一番上の欄に書いてあるだけで、本籍地と共に戸籍のインデックスとしての役割を持っているだけと思っている人がいるようですが、実は離婚する場合は戸籍筆頭者でいると子供と同じ籍に残るのに特別手続きが必要ないという特典があります。実は戸籍にはこんな性質を持っています。結婚すると子はその両親の戸籍から除かれ、新しい戸籍ができます。その際、夫もしくは妻のどちらかの姓を名乗ることになります。姓が変わらなかった方が戸籍筆頭者になります。それで、離婚する場合は戸籍筆頭者ではない配偶者がその戸籍から除かれます(除籍と言います)。しかし子供の籍は動くことなく戸籍筆頭者の籍に入ったままなのです。戸籍筆頭者を夫にすると、離婚のあと、子を元妻が引き取るためには新しく籍を作って子供を自分の戸籍に入れ、結婚時の姓を名乗るか結婚前の姓を名乗るか選び、それにあわせて子の姓をそのままにするか氏(うじ)を変えるかを決めなくてはいけません。なお元妻は離婚が決まった日から3か月以内に自分の氏を決めなくてはなりません。ただし子の氏の変更には期限がありません。離婚するだけでもエネルギーを使うのに、離婚後までこんなに多くのことを決めなくてならないなんて心身ともに疲れ切ってしまいます。結婚するときに離婚を危惧するのはいかがなものかと思いますが、子を引き取って育てたいなら妻が戸籍筆頭者になっておけば離婚後のストレスが多少でも和らぐのではないでしょうか。

まとめ

世帯主は同一生計で同居している人の中で、主に生計を支えている人のことを言う場合が多いうえ、多くのものを自分の名義にできることから経済的にも、社会的にも優位に立つことができる。住民票のインデックスになっているので、2人以上同居し、同一生計なら必ず世帯主を決めなくてはならない。一方、戸籍筆頭主は姓を変える必要もないし、離婚しても除籍されないうえ子供と同じ籍のままでいいのです。離婚の際に子を引き取って育てる気なら、戸籍筆頭主を妻にしておくのもありです。また戸籍筆頭主は本籍地と共に戸籍のインデックスになっています。

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