「頂く」と「戴く」の違いと使い分け

「頂く」と「戴く」の違いと使い分け

お中元でもお歳暮でも誕生日プレゼントなど、人から何か贈り物をもらったときに、みなさん「いただく」という言葉をよく使うと思います。おそらくほとんどの人が、「頂く」という漢字を使用する機会が多いと思います。では、「戴く」という漢字を使う場面はあるでしょうか?「限られた状況でしか使われないのか」と想像する人も多いかもしれません。では、どのような違いや使い分けがあるのでしょうか?今回は『頂く』と『戴く』についてお話ししていきたいとおもいます。

参照元:blog.volunteerspot.com

『頂く』と『戴く』の違い

これら2つの漢字は、実はどちらも基本的には意味も使い方は同じです。物などを「もらう」事を丁寧に表現した言葉とあらわされます。つまり「もらう」の謙譲語ということです。

では、厳密にいえば違う点は何かというと、常用漢字であるかどうかです。「常用漢字」とは、公的な文章ではこれを使いましょう、と定められた漢字のことを指しています。いわゆる、法令や公用文や、新聞や雑誌などの表に出る文章では特に見かける機会が圧倒的に多く、これらの漢字を使うことを推奨されています。

ということは、「頂く」は常用漢字、そして「戴く」は表外漢字ということになります。たとえば、公的な文章で

「何かを相手からもらう時」を表現したいときは、「メガネを頂く」の様な形で使う事が好ましいとされています。

常用漢字という違いだけではない!?

「頂く」と「戴く」には、常用漢字かどうかの違い以外ないのでしょうか?いえ、そんなことはないようです。それぞれの漢字が使われる熟語などを見てみると、そのニュアンスの違いが見えてきそうです。

『頂く』

「頂」という漢字の意味は、上下の概念がある中でのてっぺんを意味しています。「頁」はあたまという意味を持ち、「丁」はいちばん高いという意味があります。ということは「頭のてっぺん」という意味ですね。「頂く」というのは、相手を自分のてっぺんに「いただく」という意味になるのです。そこから転じて「大切にする・敬い扱う」

という意味で使われるようになりました。

「頂く」は、主に2つの意味で使われます。1つは「もらう」の謙譲語としてです。例えば、「励ましの言葉を頂く」や「時間を頂く」です。2つめは、「食べる」「飲む」の謙譲語として使われるパターンです。「お酒をもう頂く」や「豪華なごちそうをおなかいっぱい頂く」がそうですね。

これら2つに共通しているのは、頂くは行為に対して使われる言葉ということに気付いていただけるでしょうか?

『戴く』

対して、『戴く』という『戴』はどんなときに使われているでしょうか?「戴冠(王冠を頭にのせること)」や「推戴 (団体の長として上に立てること)」「戴天 (天をいただくこと)」といった、あまり私たちが普段馴染みのない難しい熟語に使われます。いずれにしても、「頂く」にあるようなてっぺんという要素はまるでありません。代わりに、何かが上にかぶさっている状況を表しています。もともと「戴」という漢字は、「面を持ち上げてかぶる」という意味があります。そこから「のせる」という意味が加わったようですね。イメージとして、「頭に何かがかぶさっている」というのが、ベースにあるので、「もらったもの」に対して使うと非常に厳かなイメージになります。

なので、「頂く」が行為に対して使う言葉なのに対し、「戴く」は物・物品に対して使われる言葉といえるでしょう。使うには厳か過ぎるといわれ、なかなか使われる機会が少ないというのも正直なところです。しかし、詩や小説など、自由な表現ができる場面では、ニュアンスを重視するために、使われることもしばしばあります。

補助動詞の「いただく」の場合

さて、最後に、「頂く」と「戴く」が両方とも使えないケースについて紹介します。

これ以外に「いただく」を使うケースとして、何かの行為を示す動詞にくっついて使われる、「補助動詞」があります。先ほども出てきた「常用漢字」もそうですが、文部省で「こうして使おうね」とした決まりでは、補助動詞の「いただく」はひらがなを使うということにしているんです。具体的には、動詞の後にくっついた、「~してもらう」を尊敬語として使う時です。

まとめ

今回は「いただく」についてまとめてみました。参考になったでしょうか?

参照元:thoughtcatalog.com

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