「対応」と「応対」の違いと使い分け
「応対する」と「対応する」は何が違うでしょうか?使っている漢字は同じだから、単純に並び替えただけなのでしょうか?どちらの単語も、人に対して何かをおこなうことは間違いなさそうですが、この違いは非常に分かりづらいです。漢字さえ違っていれば良いものの、使っている漢字まで同じ・・・。違うのは、その漢字の順番のみ。ただ、「その件について対応します」とは言うけど、「その件について応対します」とは言いませんね。やはりこれには違いがありそうです。今日は、分かりそうで分からない「対応」と「応対」の違いについて、掘り下げてみたいと思います。モヤモヤがすっきりして、明日から自信を持って使えそうですよ!
目次
「対応」と「応対」の意味
では、早速「対応」と「応対」の意味の違いについて見ていきたいと思います。
①「対応」
状況に対し、処置・行動することを指します。「対応」という言葉は、幅広い意味合いを持ちますが、具体的にはある事象や事件に対して、それに合う行動を実行することにあります。相手は、人やモノでも、対象物は多岐にわたります。
②「応対」
相手に応じて受け答えすることを指します。これは、人ありきの言葉だといえます。相手に対して、それに合った行動をするということになると思います。相手の気持ちに寄り添った応対を求められることも多々あるでしょう。
こうして比べてみると、漢字を並び替えただけにもかかわらず意外と意味の違いがあることに気付かれるでしょうか?
具体例
では、実際に具体例で見てみましょう。
①対応
事件への対応策を考える
⇒事件が解決するような策を考えたり、事件が起きないような策を考えたり、具体的な行動をおこすことを示します。根本的に「事件が起きない」ような実用的な策を考えられることが求められることも想像できますね。
迅速な対応
⇒迅速な手段や策に講じることを示します。対応とされるのは、成果や結果が求められることも多いので、気持ちというよりは具体的な策ということが多いでしょう。
②応対
応対室
⇒文字通り、お客様を応対する部屋のことです。丁寧に相手先をもてなすような意味合いが込められています。
丁寧な電話応対だった
⇒「電話対応」となると、すこし無機質な印象を受けますが、「電話応対」というと相手の意に沿って応えている印象があります。
接客における2つの言葉の関係性
接客や顧客サービスを行っているところでは、この2つの「対応」と「応対」が非常に重要視されます。どちらが良いとか悪いとかではなく、どちらも必要なものと言われています。特に、お客様相談係りなどで、クレームを受け付けている人にとって、どちらもなくてはならないものと言われています。
顧客が満足するような、行動すなわち「対応」が取れなければ、中身が伴ってないと怒りを買ってしまうでしょう。しかし、「応対」が無機質なものだと、気持ちがこもっていないと、こちらも逆鱗に触れてしまうかもしれません。
クレーム顧客に対して、適切な「対応」:を、精一杯の誠意をこめた「応対」をおこなわなくてはいけないのです。具体的なクレーム例で言えば、ファミリーレストランで頼んだ料理に異物が混入していたとしましょう。それに対して、クレームを言ったとします。
その時に、まず①誠意を持って謝罪します。これは異物を混入させたのが、自分本人でないにしろ、店の代表の人間として謝罪するという誠意が必要と思われます。
そして、次に②客の希望を伺いながら、料理を無償で新しいものと交換します。最低限、このような行動がファミリーレストラン側には必要かと考えられます。
いわゆる、①が『応対』で、②が『対応』と言えるでしょう。みなさんがお客様側だとしたら、最低限どちらが欠けても不満が残ると思いませんか?このように、接客における、「対応」と「応対」は相互補完関係なのではないかと思われます。
おわりに
ここまで読んでみて「対応」と「応対」の違いについて、どう思ったでしょうか?単なる漢字の順番の違いにも関わらず、意外と重要な違いがあったと思いませんか?「対応」と「応対」はあまり間違えて使う機会は少ないかもしれません。自然と使い分けている人も多いと思います。しかし、改めて意味を聞かれると分かりづらい言葉同士でしょう。しかし、仕事をしている人であれば最低限きちんと理解しておきたい言葉でもあります。特に、接客にかかわる仕事をしている人は、その言葉の本質を理解して『対応』することが求められると思います。それでも、本当の意味での『対応』することは難しく、分かっていても難解な局面に出くわすこともあるでしょう。しかし、何となく理解するのときちんと理解して行動に移すのとは段違いです。社会人として、きちんとした「応対」と「対応」ができる人間になりたいですね。
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