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「ありがとう」と「すみません」の正しい使い分け方

 
Kollama Yujiro
投稿者 Kollama Yujiro. 更新された: 16 1月 2017
「ありがとう」と「すみません」の正しい使い分け方

感謝表現の「ありがとう。」と「すみません。」、貴方は意識して使い分けをしていますか。あまりに身近な言葉なので、思うつくまま、口から出るままにしている方、多いのではないでしょうか。そこで、今日は、どのような使い分け方ができるか、一緒に考えてみましょう。

目次

  1. 貴方なら「ありがとう。」?それとも「すみません。」?
  2. 日本独特の感謝表現「すみません」
  3. 感謝表現の「すみません。」を使うと、人をがっかりさせることがある
  4. 最後に

貴方なら「ありがとう。」?それとも「すみません。」?

貴方は今高校生です。次の5つの場面で、「ありがとう。」か「すみません。」を使って、返事をするとしたら、貴方はどう答えますか。

<1>

授業中に消しゴムが落ちて、隣の席の方に転がっていきました。消しゴムが転がってきたことに気づいた隣の席の友人がそれを拾ってくれました。

<2>

自主学習中に消しゴムが落ちて、少し遠くまで転がっていきました。どうしようと思っていたら、机間巡視中の先生がそれに気づき、消しゴムを拾ってくれました。

<3>

道を歩いていると後ろから小さな女の子が走ってきました。そして、落としたよと言って、貴方の自転車の鍵を渡されました。

<4>

道を歩いていると後ろから知らない高校生から肩をたたかれました。そして、落としましたよと言って、貴方の自転車の鍵を渡されました。

<5>

道を歩いていると後ろから知らない大人の人から肩をたたかれました。そして、落としましたよと言って、貴方の自転車の鍵を渡されました。

私はマナー教室の先生ではないので、どういう答えが正しくて、どういう答えが正しくないかというのではないのですが、以下のようなケースが考えられるのではないでしょうか。

<1>「ありがとう。」

<2>「ありがとうございます。」か「すみません。」

<3>「ありがとう。」

<4>「ありがとう。」か「ありがとうございます。」か「すみません。」

<5>「ありがとうございます。」か「すみません。」

この予測から、「ありがとう。」と「すみません。」の使い分けに、それを言う相手との関係と、年齢が大きく関係しているかもしれないという指摘をすることができます。

日本独特の感謝表現「すみません」

「すみません。」は本来、謝罪表現ですが、日本語では「すみません」を感謝表現にも使います。その言葉を向ける相手のお手を煩わせて申し訳ないという気持ちがこの言葉には表れています。

お手を煩わせてという言葉がその説明に出てくることからわかるように、感謝表現における「すみません。」と「ありがとう。」の敬意の度合いは、同じではありません。だから、「すみません。」と同じ敬意の度合いで、「ありがとう」を使う感謝表現は「ありがとうございます。」ということになるでしょう。

日本人のこの独特な「すみません。」を使った感謝表現法が、海外では通じないということがかなり喧伝されていることもあり、近年は「すみません。」を言っていた場面において、「ありがとうございます。」を使う方が増えてきているように思います。また、感謝の場面で「すみません。」を使うと何とも卑屈な感じがする、「ありがとうございます。」の方が前向きな感じがすると思われている方もいるのではないでしょうか。

言語は変化していくものです。しかしながら、その根底にある基底文化はそう簡単には変わりません。感謝表現の「すみません。」を使う人は減っていくかもしれませんが、少なくとも、今後しばらくは、消えることはないでしょう。

感謝表現の「すみません。」を使うと、人をがっかりさせることがある

1.の予測からも分かるように、感謝表現で「すみません。」という相手は、言い換えれば、敬語で話すべき存在と思っているか、心理的距離がある人です。だから、貴方と親しい関係にあると思っていたり、親しくしたいと思っている人は、貴方から感謝表現で「すみません。」と言われたら、悲しい気持ちになるかもしれません。

もちろん、心理的距離を詰めたくない人には、今のまま、「すみません。」で良いでしょう。しかし、貴方の中にも親しくなりたいなという気持ちが少しでもあるのなら、意識して「ありがとう。」と笑顔で言ってみてはいかがでしょうか。ぐっと心理的距離が縮まって、親しくなるきっかけになるかもしれません。

最後に

感謝表現の「ありがとう。」と「すみません。」、簡単に言えば、相手との親疎関係で使い分けができることがお分かりいただけたかと思います。しかし、誤用を恐れすぎてはいけません。前向きな気持ちで、日々の言語生活に向かい合いたいものです。貴方の今日一日が、素敵な一日になりますように。

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