「申し訳ありません」と「申し訳ございません」の違いと正しい使い分け
感謝表現や謝罪表現は、人間関係をスムーズにするのに、欠かせない表現です。今日は、「申し訳ありません。」と「申し訳ございません。」、どう違い、どう使い分けるのが良いのか、検討してみましょう。
目次
何が違うか
「申し訳ありません。」と「申し訳ございません。」の違いは、一目瞭然ですよね。「ありません」と「ございません」が違います。即ち、丁寧さが違う訳です。
この言い方にはもう一つの下の丁寧さの段階があって、「申し訳ない。」という言い方もあります。これ即ち、文末の丁寧さを変化させていくことで、言葉の意味する重みをも変化させている訳です。
貴方だったら、「申し訳ない。」「申し訳ありません。」「申し訳ございません。」を誰に対して使いますか。
私なら、「申し訳ない。」は友人、同じ部署の同僚・部下に対して使い、「申し訳ありません。」は直属の上司や違う部署の人、「申し訳ございません」は直属の上司よりも上の上司や社外の人に対して使います。ただし、直属の上司や違う部署の人であっても、自分が大きなミスをしてしまって謝らなければいけない時は、「申し訳ございません。」を使うかなと思います。
あまりいい言葉ではありませんが、「馬鹿丁寧」という言葉があります。とても丁寧という状態を超えて丁寧ということなのですが、その度合いがあまりにひどいと、好感度が下がります。
丁寧なのに好感度が下がるとは、ずいぶん不思議なことなのですが、友達だと思っていた人が信号故障で電車が止まって車内に閉じ込められて待ち合わせに遅れてきた時に「申し訳ございません。」と言われたら違和感があるのと同じことです。
ということで、「申し訳ありません。」と「申し訳ございません。」の違いは丁寧さの違いであり、話す相手の違いでもあります。
文例
それでは、具体的に「申し訳ありません。」と「申し訳ございません。」の文例を見てみましょう。
<「申し訳ありません。」の文例>
- 申し訳ありませんが、ここにサインをしていただけませんか。
- お忙しいところ、申し訳ありません。○○さんはいらっしゃいますか。
- 病院に寄ってから出社します。申し訳ありません。
<「申し訳ございません。」の文例>
- 申し訳ございませんが、今、○○課長は席を外しております。
- 申し訳ございません。お客様のご希望の商品は、当店では扱っておりません。
- こちらのミスです。申し訳ございません。
語感は人それぞれなので、私だったらここで「申し訳ありません。」は使わない、「申し訳ございません。」は使わないということがあるかと思いますが、こういう言い方をする人、いると思われる範疇ではないかと思います。
個人的には「申し訳ありません。」の文例①、②は、「申し訳ありません。」より軽めの謝罪表現である「すみません。」でも良いのではないかと思います。その反対に、「申し訳ありません。」の文例③は、「申し訳ございません。」でも可だろうと思います。
また、「申し訳ございません。」の文例①は「申し訳ありません。」も可かなと思いますが、文例②、③は「申し訳ありません。」に変えることは難しく、文例②はこういう言い方が販売マニュアルの中にありそうだとすら思います。
「申し訳ありません。」「申し訳ございません。」は誤用
「食べれる。」「全然大丈夫です。」「お召し上がりください。」、どれも誤用です。正しくは「食べられる。」(「食べれる」はら抜き言葉。)、「全然~ません。」(「全然」の文末は否定形。)、「召し上がりください。」(「お召し上がりください。」は二重敬語。)」です。しかし、誤用と言うには、あまりに定着してしまっています。
実のところ、「申し訳ありません。」と「申し訳ございません。」も誤用だという人がいます。正しくは「申し訳ないです。」「申し訳なく存じます。」「申し訳のうございます。」なのだそうです。言葉は正しく使いたいものですが、いくら正しいとはいえ「申し訳のうございます。」とは言えないと思う私がいます。皆さんはいかがでしょうか。
要は気持ち
言葉は正しさも大切ですが、私はそれ以上に気持ちが大切だと思います。例えば、先日、息子さんが事件を起こしてしまった女優さんの記者会見を見たのですが、彼女は「本当に申し訳ありません。」と言っていました。事の重大さからして「申し訳ございません。」だろうとは、私は思いませんでしたし、私の知る限り、マスコミもそのような指摘はしていませんでした。
「申し訳ありません。」と「申し訳ございません。」、確かに丁寧さの度合いが違うので、使い分けは大切です。しかし、丁寧さを上回る、申し訳ないと思う気持ちが聞き手に伝われば、その違いは無視して良い程、小さなものなのかもしれません。
最後に
いかがでしたでしょうか。言葉の使い方、感じ方は、人それそれです。気持ちをのせて言葉を使いましょう。
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